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コンゴ民主共和国を視察した国連WFP事務局長、 同国カサイ地域は人道危機に瀕していると警告

コンゴ民主共和国を視察した国連WFP事務局長、 同国カサイ地域は人道危機に瀕していると警告
キンシャサ発ーデイビッド・ビーズリー国連WFP事務局長は、コンゴ民主共和国を4日間に渡って訪問し、中南部に位置するカサイ地域が紛争によって荒廃し人道危機に瀕していると警告しました。この地域ではおよそ320万人が深刻な食糧難に直面し、毎日の食料を手に入れることも難しい状況で、支援を必要としています。

ビーズリー 事務局長は、「カサイ地域の子どもたちに栄養価の高い食糧を早急かつ十分に届けなければ、今後数カ月の間に25万人もの子どもたちが飢えに苦しんだり餓死したりしてしまう恐れがあります。この地域の子どもたちへ支援を行うために、カサイ地域への立ち入りの自由と資金が至急必要です」と述べました。

大量殺害、村落や作物の大規模破壊、病院・診療所や学校を標的とした攻撃など昨年勃発した民族間の暴力的な紛争によって、以前から高かったカサイ地域の栄養不良率はさらに上昇しました。コンゴ民主共和国で食糧難に直面している770万人のうち、4割以上をカサイ地域の人びとが占めています。

国連WFPは同地域への緊急支援を強化しており、12月末までに最も脆弱な50万人に対して支援を行い、来年初旬からはさらに支援を拡大していく予定です。数十人の職員を追加配置し、遠隔地へ食糧を輸送するためのオフロードトラック80台も追加配備しています。また国連WFPが運営している国連人道支援航空サービス(United Nations Humanitarian Air Service、略称UNHAS)は、現在救援物資と援助機関の職員の航空輸送をカサイ地域7カ所に対して実施し、さらにその範囲を拡大させています。

しかし、国連WFPが8月に開始した緊急支援は、現在まで内部資金からの借入れによって財源を賄っています。しかも国際社会から調達した資金額は、2018年半ばまでの支援に必要となる金額1億3,500万米ドルの1%にしか達していません。

この数週間にカサイ地域での武力衝突は減退しましたが、強盗や強奪は日常的に起きています。さらに、ドイツと同程度の面積の地域で多数の武装勢力が活動しており、9月から12月までの雨季には道路網の大部分が通行不能となるため、人道的支援を届けるためのアクセスの確保は難しく、今後も課題となります。

ビーズリー事務局長が視察した東部の北キブ州でも、アクセスの問題と不十分な資金が障害となり、国連WFPの支援活動は限られたものとなっています。20年にわたる紛争によって避難民となった北キブ州の100万人のうち支援を受けられているのは25万人だけで、配給される食糧の量も通常の半分です。

コンゴ民主共和国の国民の多くは自給農業を営んでいることから、土地を巡る争いが紛争の根源になることが少なくありません。紛争によって避難民となり、その後北キブ州やカサイ地区の村に戻ってきた多くの家族が、今でも襲われるのではないかという不安感から農業を再開することができないとビーズリー事務局長に訴えました。

ビーズリー事務局長は、「生き残るために命の縮む思いをしてきた女性や子どもたちに会いましたが、その数があまりに多いのです。資源豊かな土地なのに、この状況はひどすぎます。とても容認できません」と述べました。

ビーズリー事務局長は、コンゴ民主共和国の人々のより良い未来のための投資をしても見返りが限定的であることが支援国や支援者の懸念となっている事実を認め、一部の国が、より大きな効果が得られそうな国々へ支援先を変更する恐れがあると指摘しました。

ビーズリー事務局長は言います。「そうした懸念については聞いています。しかし、全く罪のない女性や子どもたちに他者の過ちの責任を負わせるのはやめましょう」

「この数日間に会った勇敢な人びとが何よりも望んでいるのは、平和です。平和であれば、自分たちの食物を育て、生活を再建し、子どもたちのためにより明るい明日を築くことができます。シンプルで力強いメッセージです。私はこのメッセージをカビラ大統領と政府に伝え、その願いが実現するような取り組みをさらに進めるよう強く求めました」